【Case03】大きな願望が、燃え尽きの日々を終わらせた

大島:本日は、大島パートナーシッププログラムでご一緒している 代表取締役社長Fさんにお話を伺います。Fさん、本日はよろしくお願いいたします。

Fさん:よろしくお願いします。

大島:ありがとうございます。お父様ととある経営研修で初めてお会いしてからもう6年ですよね。
Fさんは大島のゼミ長も務めていただいたのですが、当時の私の印象はどのようなものでしたか?

Fさん:歴史や哲学を基礎にいろいろと教えていただく中で、とても安心感があり、本質的なことを教えていただいていると感じていました。一方で、少し怖い印象もありました。

大島:そうですか。

Fさん:はい。

大島:なぜですか?

Fさん:知識がとても深い方は、いろいろなことを見通せてしまうので、自分の内面を見透かされているような感覚があり、少し構えてしまっていた部分がありました。

大島:そうですか。

Fさん:はい。申し訳ないです。

大島:いえいえ。でも、それがあったからこそ、頑張ろうという気持ちになった部分もありますよね。

Fさん:はい。

目次

やる気はあるのに、何をすべきか分からない状態だった

大島:1年前に個別相談会で久しぶりにお会いしましたよね。その時の写真を共有させていただきます。

Fさん:はい。

大島:この写真を見て、当時のご自身を一言で表すとどのような状態でしたか?

Fさん:代表に就任して、その1ヶ月後くらいに個別相談会に参加しました。その時は社長になりたてで、やる気はあるものの、不安げな表情に見えます。

大島:当時はどのようなお悩みがありましたか?

Fさん:後継者として社長になることが一つの目標だったので、社長になれたことで一度は悩みが解決した感覚はありました。ただ、それを達成した後に燃え尽きたような感覚になり、「自分は何がしたかったのだろう」と迷ってしまいました。そのタイミングで大島さんとお話しする機会をいただきました。

「やりたいことがない」という思い込みからの脱却

大島:個別相談に参加された理由を教えてください。

Fさん:もともと経営研修会で大島さんの講義を受けていて、自分の会社に戻って事業を進める中で、いずれまたお世話になろうと思っていました。その中で社長交代のタイミングで個別相談の案内があったので、この機会だと思い参加しました。

大島:個別相談ではどのような気づきがありましたか?

Fさん:自分が何をしたいのか分からない状態で、こんな相談をしてもいいのかと不安でした。やりたいことがないならアドバイスももらえないのではないかと思っていました。

ただ、実際にはとても共感していただき、「まだ見えていない願望があるのではないか」と言っていただきました。それによって、自分でも気づいていなかった願望や欲求があるのではないかと感じ、それを深掘りしていきたいと思いました。

大島:当時は燃え尽きた状態でしたが、それは願望が見えていなかったからということですね。

Fさん:そうですね。

大島:実はFさんの中には願望があって、それがまだ見えていないだけということですね。

Fさん:はい。なので、その願望をもっと引き出していきたいと思うようになりました。

大島:変化があったということですね。

Fさん:そうですね。社長になったばかりで、「こうあるべき」という考えに縛られていて、自分の欲求が見えにくい状態でした。ただ、お話しする中で、自分のやりたいことは明確ではないものの、確実にあると認識できたことが大きかったと思います。

恐れから「伴走される安心感」へ

大島:その後、大島社長塾に参加されていますが、最後の決め手は何でしたか?

Fさん:申し込み前は、厳しく指摘されるのではないか、ダメ出しをされるのではないかと不安がありました。

ただ、個別相談の際にとても寄り添っていただき、「一緒にやっていきましょう」という感覚がありました。また、こちらの意見も丁寧に聞いていただき、対話をしている感覚がありました。

その中で、自分をきちんと見てくれて、一緒に伴走してくれるのではないかと感じ、申し込みを決めました。

学びが“知識”から“意思決定基準”へ

大島:受講中はどのような気持ちで取り組まれていましたか?

Fさん:経営研修の際にも哲学や歴史の重要性は教えていただいていたので、その後も一人で学んできたつもりでした。ただ、学ぶだけでは実務と結びつけるのが難しかったです。

受講する中で、歴史や哲学をもとに「こう判断するべき」という具体的なつながりが見えてきて、それまでの学びが実務とつながった感覚がありました。そこが大きな変化だったと思います。

大島:受講の際の気持ちはどうでしたか?

Fさん:毎回とても楽しみに大阪まで通っていました。移動中もいろいろ考えながら勉強していましたし、受講中もグループでの対話を通じて、他の方の考えや感じ方を知ることができ、自分の考えもより明確になりました。とても実りの多い時間でした。

大島:グループでの交流も深まりましたよね。

Fさん:はい。とても深まりました。

大島:今後はお互いの会社訪問なども予定されていますよね。

Fさん:はい、そうです。

Fさん:同じような悩みを持っている方たちですし、一方で、それぞれの会社に魅力や良いところもたくさんあるので、そういう部分にもすごく共感しました。

また、一つのことを学びながら、事業をどうしていくかという共通のテーマがあるので、すごく仲も深まったと思います。

不安・恐怖で動く状態からの脱却

大島:今、大島社長塾のベーシックが終了したところですが、今の心境を一言で言うと、どんな感じですか?

Fさん:そうですね。本当に楽になったというか、安心感の上でエネルギーが生まれてきた、という感じがします。

これまで、不安とか恐怖心をエネルギーにしてきた自分からすると、それでいいのかなと思ったりもするんですけれど、こういうことをちゃんと実践していって、こういうことを勉強していけば、いずれ自分のやりたいことがもっと明確になっていって、今やっていることも確信を持って進めていける、という気持ちで今います。

大島:だいぶ行動力が変わった感じですかね。不安から動くのではなくて。

Fさん:はい。

大島:安心感のもとで動いている感じかな。安心感という表現は変ですかね。

Fさん:そうですね。何でしょうね。心の安定、みたいなところですかね。

大島:心の安定ですね。

Fさん:はい。

軸をしっかりとどっしり構えて、いろんなことに対処していくことができるという、ある種の喜びみたいなものはありますね。

大島:私への印象は、数年前と比べて変わりましたか? 良かった点も、厳しく感じた点も率直にお願いします。

Fさん:当時は、あまり気軽に相談しづらいなという感じはしていたんですが、今は本当に、いざとなったらいつでも相談できる、という安心感があります。
もっと相談したいなと思ってはいるんですけれど。

大島:本当に、どんどん相談してください。

Fさん:はい。

経営の変化 “言われて動く”から“意思で動く”へ

大島:過去から現在まで、どんな変化が起きましたか? ご自身のことでも、チームのことでも、あるいは事業のことでも、具体的にお聞かせください。

Fさん:今までは、やっぱり誰かから言われたことに対処していくような動き方をしていて、「これは絶対やらなきゃいけない」「やった方がいい」「やりたいんだ」という確信がないまま、事業を進めていたんです。

けれど、本当に自分がやりたかったのは、自分が本当にやりたいという気持ちの上で事業を進めていく状態だったので、そこにすごく近づいてきたという印象があります。

進みたい方向がすごく明確になったと思います。

大島:他にはどうですか?

Fさん:そうですね。進みたい方向性としては、これまで自分の中で別々に考えていたものがありました。

会社としてどうしていくかということと、自分が関わっている領域全体に対してどう価値を出していくかということが、これまではうまくつながっていなかったんです。

ただ、この期間を通じて、それらを一つの方向性として結びつけて考えられるようになり、その軸で事業を進められるようになってきたと感じています。

その中で、自分たちの価値をどう高めていくかや、どのように形にして届けていくかといった取り組みも、実際に進められるようになってきました。

分断されていた会社・地域・人生が一つのストーリーに

大島:商品のブランド化につながる形で、商品の値上げにも踏み切られましたよね。

Fさん:そうですね。

大島:そのあたり、少しお話しいただいてもいいですか?

Fさん:はい。原価高騰はどの業界でもあると思いますし、物価も高騰していますし、その流れに沿って値上げをすることは、間違いなく必要でした。

ただ、そこにブランド化という目標が加わったことによって、少し思い切った値上げをすることになりました。

大島:どのくらい値上げされたんですか?

Fさん:3割ぐらいですね。

大島:結構大きいですね。

Fさん:はい。周りの何人かからは少し反対されたこともあったんですけれど、そこは信念を持って、ブランド化していくんだ、価格が高くても価値の高いものを提供していくんだ、という思いでその値上げ幅にしました。

大島:実際、値上げしてどうでしたか?

Fさん:かなり売上が落ち込むだろうなと思っていたんですが、値上げに踏み切ったので、前月の売上は駆け込み需要でそこそこ上がりました。

じゃあ翌月はどんと落ちるのかなと思っていたんですけれど、昨年よりも良い数字が出て、実は売上はそれほど下がっていなくて、むしろ前年比でいうと上がったぐらいでした。

大島:そうすると、Fさんのやりたい方向性の中の一つの打ち手になったということで、それはやって良かったという感じですかね。

Fさん:そうですね。

財務や統治基盤について

大島:財務や統治基盤については、何か変わったことはありましたか?

Fさん:そうですね。キャッシュを増やさなければいけないという認識はもともとあったので、相談する中で、現預金を増やすために借入れを行うなどの取り組みをしました。

大島:統治基盤はどうですか?

Fさん:株式についても、もともとは徐々に進めていこうと考えていたのですが、社長になるという立場だけでなく、本当に自分の会社にすることは早い方がいいということで、株式を100%取得するスケジュールが見えてきています。

大島:なるほど。

社員が“ついてくる存在”へ

社員との関係はいかがですか?

Fさん:自分のやりたいことを優先しすぎると、社員がついてこないのではないかという不安がありました。

ただ、しっかりと話をして自分の思いを伝えながら接していく中で、コミュニケーションの形はこれまでと変わってきましたが、自分のやりたいことに対して協力してくれる社員が増えました。

大島:心強いですね。

Fさん:非常に心強いです。

大島:経営研修の時からFさんが抱えていたモヤモヤ、事業の意義についてですが、この期間で解決したように私は感じたのですが、それは間違いないですか?

Fさん:はい。本当にその通りだと思います。

もともと、会社をどうしていくか、自分としてどう生きるか、そして関わっている領域全体に対してどう向き合うかということを、それぞれ別のものとして考えていました。

そのため、すべてを個別にやらなければいけないと感じていて、なかなか整理がつかない状態でした。

ただ、それらを一つの流れとして捉えられるようになり、その中で、自分たちの取り組みがどんな意味を持つのかという一つの答えが見えてきました。

その結果、願望のスケールは大きくなりましたが、今までよりも実現できそうな感覚があります。

大島:そうすると、今のご自身の気持ちや考え方も、大きく変わったということですね。

Fさん:はい。

大島:すごいですね。

大島:ありがとうございます。では、最近の写真も共有させていただきますね。

こちらが1年前の写真で、比較写真がこちらです。ちょうど6ヶ月後に撮影したものですね。

この2つを見比べて、差は感じますか?

Fさん:はい、感じます。

大島:どんなところですか?

Fさん:一つは、何か一つ答えが見つかったような感じがあります。最近の写真の方は、前を向いているというか、最初の写真と比べて迷いがなくなっていると思います。

自分で言うのもあれですが、少し社長らしくなってきたのかなと感じます。

大島:そうですよね。上の写真はまだ後継者という雰囲気が残っているように見えますが、下の写真はそういう雰囲気がなくなっていますよね。

全然違いますよね。経営者というよりも、事業家の顔になってきているように感じました。

そのあたりはいかがですか?

Fさん:最初の写真の時点では、まだ何をやるか決まっていない状態でした。経営者として頑張ろうという意識はあったと思うのですが、最近の写真の方は、事業をどうしていくかを考えている表情になっていると思います。

大島:ありがとうございます。

それでは、今、Fさんはどんな未来に向かって進んでいるのか教えていただけますか?

Fさん:まずは、株式を100%取得して、名実ともにオーナー社長として会社を担っていくことが最初のステップです。

今年度内には取得する予定です。

それから、現在いろいろな事業の構想がありますが、それらを体系化し、文章として整理・言語化した上で、事業を強くしていきたいと考えています。

また、先ほどからお話ししている通り、ブランドの確立や、商品をどのように届けていくか、価値をどう高めていくかといった点にも取り組んでいきたいと思っています。

“共に進む関係”へ

大島:この前、奥様にもセッションにお越しいただきましたよね。

Fさん:妻も一緒に働いているのですが、理解はしてもらっていると思いつつも、深いところに行けば行くほど理解してもらえない部分や、意識のずれのようなものを感じることがありました。

今回、3人でお話しさせていただいた機会があったのですが、帰り道に妻が「すごく気持ちがすっきりした」と言っていて、すごく良い時間だったのかなと思います。

私自身も後継者としての悩みを持っていますし、妻もやりたいことがあったり、仕事が増えていくことに対して不安や恐怖心を持っていたと思うので、そういった部分を解消してもらえた感覚があります。

大島:奥様もすっきりされて、雰囲気は変わりましたか?

Fさん:全然違いますね。どう関わっていけばいいのか不安に思っていたと思うのですが、お話しする中で、私と同じように自分の欲求にも気づけたのではないかと思います。

セッションでは「そんなに頑張らなくていい」と言われたそうですが、逆にやる気が出て、今はとても前向きに取り組んでいます。

大島:そうなんですね。

Fさん:経営者は相談相手が限られていて、社員を説得したり、周囲に説明したりする場面も多いですが、妻が理解を示してくれるようになったことで、いろいろなことが進めやすくなりました。

大島:これから未来に進んでいく上で、奥様の存在は大きいですか?

Fさん:そうですね。あの時間があったかどうかで、これからは大きく違うと思います。

大島:今後、奥様とどんな関係を築いていきたいですか?

Fさん:できれば仲良く、共通の意識や目標を持ちながらも、お互いの個性を尊重し合って、それによって新しい何かが生まれていくような関係を築いていきたいと思っています。

大島:素敵ですね。

Fさん:ありがとうございます。

もし大島社長塾に参加していなかったら

大島:では、少し想像しにくいかもしれませんが、もし大島社長塾に参加していなかったら、今どんな状態だったと思いますか?

Fさん:悩み自体は、もしかしたらなかったかもしれません。それは、何も考えていなかったからだと思います。

ただ、何も進んでいなかったと思いますし、株式や財務のことも含めて、具体的に実行する回数は少なかったと思います。

受講したことで、借入れも行いましたし、株式取得のスケジュールも大きく前倒しになりました。

今振り返ると、受講していなかった状態は少し怖いですね。あまり想像したくないです。

後継者・後継社長の方へ伝えたいこと

大島:ありがとうございます。では最後に、後継者・後継社長の方へ一言お願いします。

Fさん:私自身、対話を重ねる中で少しずつ確信を持てるようになり、不安が取り除かれて、安心感を持って事業を進められるようになりました。

その結果、事業に対して楽しさや喜びを感じられるようになっています。

そういう状態で経営できることは、とても価値があり、楽しいことだと思うので、同じように悩んでいる方にも、ぜひそういう状態になってほしいと思います。

大島:ありがとうございます。それでは本日はFさんにお話を伺いました。本日はありがとうございました。

Fさん:ありがとうございました。

この記事を書いた人

哲学的思考と実績に裏打ちされた体系的独自コンサルティングを優秀な連携専門家とともに提供します。
幾多の事業承継・企業変革を成功に導く業界のパイオニア的存在です。

目次