【Case02】父の影を越え、自分の意思で経営できた

大島:本日は大島パートナーシッププログラムでご一緒している
代表取締役社長のSさんにお話を伺います。
Sさん、本日はよろしくお願いいたします。

Sさん:よろしくお願いします。

大島:ありがとうございます。
Sさんとは、1年近くに及ぶ経営研修で初めてお会いしましたよね。もう結構経つかと思いますが、当時の私の印象はいかがでしたか?

Sさん:そうですね。厳しいと伺っていたのですが、一方で、授業はとても楽しくて面白く、いつも本質を突いた内容を教えていただいていたので、楽しく受講していました。

目次

社長就任直後の不安と葛藤

大島:ありがとうございます。では、個別相談にお越しいただいたのは1年ほど前だったと思いますが、その当時の写真を少し共有させていただきますね。

この写真をご覧になって、当時のご自身を一言で表すとどんな状態でしたか?

Sさん:そうですね……幼く見えるというのと、やはり不安な状態だったと思います。

大島:不安、という感じですかね。

Sさん:はい。

大島:当時はどのようなお悩みがありましたか?

Sさん:はい。社長に就任したのが夏で、個別相談に伺ったのが、就任してまだ数日というタイミングでした。
自分の中に「社長としての軸」がまったく定まっていないと感じていて、このままではいけない、という感覚を強く持っていました。

まだ何も固まっていない時期で、当時は不安でいっぱいだったと記憶しています。

個別相談で得た気づき

大島:個別相談に参加された理由について教えていただけますか?

Sさん:そうですね。きっかけは、個別相談の1ヶ月ほど前に大島さんからいただいたメールでした。そこに書かれていた内容と、ホームページに掲載されていた内容を読んだときに、「今、自分がなんとなく抱えている漠然とした不安が、すべて書かれている」と感じたんです。

「この気持ちを一度話してみたい」と思ったのが最初の一歩でした。

大島:実際に個別相談に参加されて、どのような気づきがありましたか?

Sさん:はい。大きく変わったのは、自分の悩みが「経営者としての視点」でしか捉えられていなかったと気づいたことです。そのためにモヤモヤしていたのだと思います。

相談の中で、「後継者は経営者ではなく、事業家を目指すべき」というお話をいただいたときに、「自分の中には“事業”という軸がまったくなかった」と気づきました。

だからこそ、今までモヤモヤしていたんだと腑に落ちて、悩みが一気に整理された感覚がありました。

大島:経営者と事業家というのは、その時点でかなり違うものだと感じられましたか?

Sさん:そうですね。経営者というと、守る・維持する・管理するといった側面が強く、当時の自分はその観点しか持っていませんでした。

一方で事業家は、自分の中から何かを生み出し、世の中に発信していく存在だと感じました。そういう存在になりたいと思いましたね。

大島:ありがとうございます。そうした気づきをきっかけに、大島社長塾に来られるようになったということですね。

大島社長塾への参加と変化の始まり

大島:大島社長塾に申し込まれた理由や、そのときの気持ちはいかがでしたか?

Sさん:申し込みをしたときは、「これから良くしていけそうだ」という期待や、楽しみな気持ちがありました。
自分はもっと良くなっていけるんじゃないか、という前向きな感覚でしたね。

大島:実際に受講されている間は、どのようなお気持ちでしたか?

Sさん:そうですね。新しい視点をたくさんいただく機会が多く、毎回新たな発見がありました。自分の固定観念や常識を壊していただくことが多くて、とても楽しく、ワクワクしながら受講していました。

また、「自分はもっとできる」という可能性も強く感じましたし、常に応援していただいている感覚があったので、前向きに取り組むことができました。

経営者としての覚悟と転換点

大島:ありがとうございます。では、実際にこの1年間でどのような変化がありましたか?

Sさん:そうですね。この1年間で一番大きかったのは、「自分が社長なんだ」「この会社は自分の会社なんだ」と思えるようになったことです。

その背景として大きかったのは、創業者である父、現在の会長との向き合い方です。この1年は、そこにしっかり向き合い続けた期間でした。

その結果、自分なりの答えを出すことができ、大きな転換点になったと思います。

大島:その「答えを出した」というのは、もう少し具体的に教えていただけますか?

Sさん:はい。大きく2つあります。

1つは、経営体制の移行に伴う条件面の整理です。会社の状況を踏まえながら、双方の考えをすり合わせて最終的な合意に至りました。

もう1つは、経営における意思決定のあり方についてです。

それまでの体制では、形式上は代表を務めているものの、最終的な意思決定に関して自分だけでは完結しない部分がありました。

その点をしっかり整理し、今後の経営をについて対話を重ねながら調整を行ってきました。

大島:その結果、最終的に合意できたということですね。

Sさん:はい。ちょうど先日合意ができ、経営の責任と意思決定を一貫して私が担う体制になりました。

大島:かなり大変だったのではないですか?

Sさん:大変でしたね。

途中で「このままでいいのでは」と思ったこともありました。今の状態でも特に問題はなかったので。

ただ、会長であり父でもあるので、感情的な部分での葛藤もありました。「なぜ分かってもらえないのか」と悩むこともありました。

周囲との関係性の変化

大島:それが、今の状態になってみて、気持ちは大きく変わりましたか?

Sさん:はい、かなり変わりました。

これまでは、ある意味で「与えられた立場」でしたが、今は自分で取りにいった立場だと感じています。

その分、「この会社は自分の会社だ」と強く思えるようになりましたし、すべての責任は自分にあると腹落ちしています。

一方で、これまで会社に対してマイナスな感情を持つこともありましたが、今回きちんと整理できたことで、会長に対しても感謝の気持ちが強くなりました。

会社をここまで残してくれたこと、今の状態を引き継げたことに対して、素直に感謝しています。

その結果、会長ともフラットな関係で向き合えるようになってきたと感じています。

大島:なるほど。権限も責任も100%自分にある状態になった、ということですね。

Sさん:はい、その通りです。

大島:そうすると、仕事への向き合い方も変わりますよね。

Sさん:はい。これまでは会長や周囲の顔色を伺いながら判断することもあり、自分の中でも中途半端な部分があったと思います。

今はそういった迷いがなくなり、「自分がどう考えるか」を軸に意思決定できるようになりました。

そこは大きな変化です。

大島:会長との関係も、むしろ良くなっている感じですか?

Sさん:そうですね。
以前は「なぜ認めてもらえないのか」という感情がありましたが、今はすべて自分の責任として受け止めているので、逆に純粋に「教えてほしい」と思えるようになりました。

実際に相談することも増えていますし、良い関係になってきていると感じています。

大島:素晴らしいですね。

Sさん:ありがとうございます。

大島:では、チームについてはいかがですか?

Sさん:はい。各部門長と個別に話す機会を増やし、「自分たちの部門をどうしていきたいか」を一緒に考えるようにしています。

これまでは、上から決められたことを実行するスタンスでしたが、今はそれぞれが主体的に取り組みを考え、発信してくれるようになってきました。

実際に、私が指示していないことでも動いてくれており、良い変化が起きていると感じています。

大島:社員発信で動き始めているということですね。

Sさん:はい、そうです。

大島:銀行との関係はいかがですか?

Sさん:はい。社長就任後、銀行と直接やり取りする機会が増え、自分で融資の申し込みも行いました。
結果として、大きな借入を実行しています。

大島:やってみてどうでしたか?

Sさん:非常に良かったと感じています。

資金的な余裕ができたことで、資金繰りへの不安が減り、本来やるべき事業のことに集中できるようになりました。

また、一度大きな取引をしたことで、他の銀行からも積極的に声がかかるようになり、関係性も良くなってきていると感じています。

大島:応援者が増えた感覚はありますか?

Sさん:はい、あります。

不安が自信に変わった自分自身の変化

大島:最後に、ご自身の変化について教えてください。

Sさん:はい。以前はどこかで自分を疑っている部分がありました。

「自分は大丈夫なのか」と。

ただ今は、「自分はもっと良くなっていける」と、自分自身に期待できるようになりました。

不安がなくなったわけではありませんが、漠然とした不安が、漠然とした自信に変わった感覚があります。

大島:ありがとうございます。

では、今どのような未来に向かって進んでいるのか、教えていただけますか?

Sさん:そうですね。今は、これまでのような「守る経営者」の思考から、かなり変わってきたと感じています。

以前は会社を維持して守ることに意識が向いていましたが、今はそれよりも、もっと世の中に新しいものを届けていきたいという事業家マインドが強くなっています。

当社は現在、ものづくりの現場に対して効率化や仕組みづくりの支援を行っていますが、この業界ではこれまで、生産性や効率性が重視されてきました。

ただ、それだけではなく、もっと働く場を魅力的な場所にしていきたい、という思いが自分の中で見えてきました。

そこに向けて進んでいきたいと思っています。

大島:そうすると、一般的な仕組みづくりの会社とはかなり方向性が変わってきそうですね。

Sさん:そうですね。その視点で取り組んでいる会社はあまり多くないと思うので、新しいものを届けられるのではないかと思っています。

大島:なるほど。Sさんにしかできないこと、御社にしかできないことが見えてきているわけですね。

それをさらに具体化していくことで、新しい可能性も広がっていきそうですね。

Sさん:そうですね。楽しみです。

まだ自分でも想像していないことができそうな気がしているので、そこにも期待しています。

大島:ありがとうございます。それでは本日はどうもありがとうございました。

Sさん:ありがとうございました。

この記事を書いた人

哲学的思考と実績に裏打ちされた体系的独自コンサルティングを優秀な連携専門家とともに提供します。
幾多の事業承継・企業変革を成功に導く業界のパイオニア的存在です。

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