人件費が高すぎる、削りたいと思ったときに社長が考えるべきこと

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ありがとうございます。
こんにちは。
後継社長学提唱者の大島康義です。
私はかつて実家ホテルの倒産を経験し、
その時の学びと経験を
後継社長専門コンサルタントとして
お伝えさせていただいております。

「人件費が高すぎる」
この言葉で検索されて
この記事にたどり着いた方もいるかもしれません。

実はこの悩み、
後継社長にはとても多いテーマです。

私自身、この言葉を
頭の中で何度も転がしていた時期があります。

27歳のとき、阪神大震災で家業のホテルが壊滅しました。
父は気力を失い、
「あとはお前に任せる…」と、
業務を諦めてしまいました。

蓋を開けてみたら、
100億円を超える借金。
50億円の債務超過。

そして、従業員400名の生活が
突然、私の肩にのしかかりました。

毎月、支払日が近づくと、
資金繰り表を開くのが怖くなる。

銀行の返済は交渉ができる。
仕入は待ってもらえることもある。
けれど、400名分の給与は、待ってくれません。

数字を見るのが怖い。
それでも、見ないわけにはいかない。

だから「人件費が高すぎる」と感じる社長の感覚は、
私にはよくわかります。

ただ、いま振り返ると、
あのとき私が本当に見なければならなかったのは、
人件費ではありませんでした。

目次

「人件費が高すぎる」と感じるのは、会社が苦しくなっているサイン

売上が伸びないのに人件費だけが増えていく理由

人件費は、何もしなくても増えていきます。

最低賃金は上がる。
社会保険料も上がる。
定期昇給もある。

一方で、売上は横ばい。
値上げは、なかなか言い出せない。

決算書を受け取るたびに、
去年より重くなっている気がする。

社員が増えたわけでもないのに、
なぜか余裕が消えていく。

この感覚を、
何年か続けて味わっている方は多いと思います。

ただ、多くの後継社長が
「高すぎる」と感じているのは、
金額そのものではないと思うのです。

粗利は増えていないのに、
人件費は増えている。

その差に、直感が反応している。

つまり「人件費が高すぎる」という感覚は、
人の問題というより、
会社の稼ぐ力が落ちてきたサインなのです。

社員を減らせば解決する、とは限らない

苦しくなると、頭に浮かぶのは
「人を減らす」という選択肢です。

たしかに、数字の上ではすぐ効きます。
翌月から支出は減ります。

けれど、現場では別のことが起きます。

減らした分の仕事は、消えません。
残った社員に乗ります。

そして、こういうときに先に辞めていくのは、
たいてい、辞めてほしくない人のほうです。

行き先を選べる力のある社員から、
静かにいなくなる。

残るのは、負荷と不安です。

会社の空気が変わると、
提案が減り、報連相が遅れ、
現場の判断が止まりはじめます。

人件費は下がった。
けれど、稼ぐ力はもっと下がっている。

私はこの順番を、
自分の会社で経験しました。

後継社長がまず確認したい「人件費」の本当の姿

人件費を考えるとき、
総額だけを眺めていても答えは出ません。

見るべきなのは、
その人件費が、どんな仕事に払われているのか、です。

・粗利を生んでいる仕事に、どれだけ人がいるか
・粗利を生まない仕事に、どれだけ人がいるか

この二つを分けて見るだけで、
景色がずいぶん変わります。

「多い、少ない」ではなく、
「どこに使われているか」で見る。

数字は、社員を責めるための道具ではありません。
経営の現在地を知るためのものです。

人件費を削りたいときほど、会社の構造を見直してみる

利益を生まない仕事に人が張り付いていないか

後継社長とお話ししていると、
こんな言葉をよく聞きます。

「忙しいのに、利益が残らないんです」

現場は動いています。
社員も、手を抜いていません。

それでも利益が残らない。

このとき起きているのは、
たいてい、忙しさの中身の問題です。

長い会議。
誰も読まない報告書。
念のための確認作業。
値下げしたあとの、後始末のような仕事。

どれも、悪意があって生まれたものではありません。
必要だった時期が、たしかにあったのです。

ただ、その仕事はいま、
粗利を生んでいるでしょうか。

古いやり方を続けることで人件費が膨らんでいないか

セッションの中で、
空気が変わる瞬間があります。

「それ、ずっと当たり前だと思ってました」

その一言が出たときです。

当たり前って、強いんですよね。

味方の顔をして、
可能性を静かに削っていく。

先代の時代に最適だったやり方は、
その時代の環境に合っていたから残っています。

お客様も、原価も、人の価値観も、
あれから動き続けています。

やり方だけが、そのまま残っている。

そこに人が張り付いていれば、
人件費は膨らみます。

後継社長学では、
人の思考を深いところで支配している常識や思い込みを
「コード」と呼びます。

そして、古いコードを解体し、
新しいコードに入れ替えることを
「リ・コード」と呼んでいます。

人件費の問題は、
たいていコードの問題です。

社員の問題に見えて、実は経営の問題かもしれない

「うちの社員は生産性が低い」

そう感じてしまう日も、あると思います。

けれど、社員は与えられた仕事を
一生懸命やっているだけかもしれません。

何をやるか、何をやめるか。
それを決めるのは、社長です。

生産性の低い仕事に人を配置しているのは、
社員ではありません。

これは、社長を責める話ではありません。

会社の意思決定のクセや、
責任の捉え方といった見えない構造が、
最終的な結果を決めているという話です。

私が倒産から学んだのも、
失敗が私個人の能力や覚悟の不足ではなく、
父、祖父から続いてきた構造の結果だった、という事実でした。

構造が変わらないまま対策だけを重ねても、
同じ場所に戻ってきます。

人件費を「削る」のではなく、利益を生む力に変える

社員数を減らす前に考えたい仕事の再設計

人を減らす前にできることが、ひとつあります。

仕事を減らすことです。

やめる仕事を決める。
これは、社長にしかできません。

社員からは言い出せないからです。

やめると決めた瞬間、
そこに使われていた人の時間が空きます。

同じ人件費のまま、
使い道が変わるのです。

社員が力を発揮できる仕事に集中させる

空いた時間を、どこに向けるか。

お客様が喜ぶところ。
自社が価値を出せるところ。

そこに人を集めていくと、
粗利が動きはじめます。

商品やサービスの魅力を語れないと、
会社は価格でしか勝負できなくなります。

値下げを求められ続け、
それを補うためにコスト削減に走る。

けれど、削る経営には、いずれ限界がきます。

社員のやりがいも減り、
会社は儲からず、社長も楽しくない。

顧客は別の会社へ移り、
社員は転職していきます。

その循環から出る道は、
削ることの先にはありません。

人件費をコストではなく「事業をつくる資源」として捉える

後継社長学では、
借金は悪ではなく、
会社の可能性を高める道具だと考えます。

人件費についても、同じことがいえます。

人件費は、支出であることは間違いありません。

同時にそれは、
事業をつくるために使える、
会社で最も大きな資源でもあります。

リ・コードの例で示すと、こうなります。

コード:人件費は、削るべきコストである。

リ・コード:人件費は、事業をつくるための資源である。

同じ数字を、どちらのコードで見るか。

その違いが、
数年後の会社の姿を分けていきます。

人件費の悩みを、会社を進化させるきっかけにする

「削らなければ」という発想から抜け出す

削る発想の先にあるのは、縮小です。

守るために削り、
削ったから稼げなくなり、
稼げないからまた削る。

この循環に入ると、
社長の思考はすべて対症療法になります。

売上を下げない。
赤字を避ける。
その場をしのぐ。

気づけば、
「自社の事業は本当に社会の役に立っているのか」
という視点が、消えてしまいます。

なぜでしょうか。

会社を守ることに集中しているとき、
人は、外ではなく内側だけを見ているからです。

後継社長だからこそできる事業構造の変革

後継社長の多くは、
育った環境から、しっかりした経営軸を持っています。

数字を守る力。
約束を守る力。
責任を引き受ける力。

これは、後継社長の強みです。

そこに、事業軸が加わったとき、
会社は動き出します。

事業軸とは、
「誰に、どんな価値を提供するのか」という軸のことです。

自分を「経営者」として捉えている限り、
会社は管理の対象のままです。

「事業家」として捉えたとき、
会社は価値創造の対象に変わります。

後継社長学では、
継ぐという意識を卒業し、
会社の基盤を活かして自分の憧れを形にする存在を
「後継事業家」と呼んでいます。

先代から受け取った社員も、設備も、取引先も、
守るための重荷ではなく、
事業をつくるための持ち駒になる。

そう見えはじめたとき、
人件費という数字も違って見えます。

社員と会社と自分が喜べる経営へ進んでいく

人件費に悩むということは、
社員の生活を背負っているということです。

その重さを感じられる人でなければ、
そもそも悩みません。

その重さは、
削って軽くするものではないと、私は思っています。

事業をつくり替えて、
背負えるだけの力をつけていく。

そちらのほうが、
経営としてはずっと面白い。

今日お話ししてきたことを、
整理しておきます。

・「人件費が高すぎる」は、稼ぐ力が落ちたサインである
・人を減らす前に、やめる仕事を決める
・人件費は、削るコストではなく、事業をつくる資源である

私は、削る経営から、つくる経営へ移っていった後継社長を
何人も見てきました。

その方たちが特別だったわけではありません。

決算書の同じ欄を、
違うコードで見はじめただけです。

数字は、まだ変わっていない。

それでも、見え方が変わると、打つ手が変わる。
打つ手が変われば、数年後の会社は変わります。

あなたの会社の人件費は、
これから、何を生み出していくのでしょうか。

この記事を書いた人

哲学的思考と実績に裏打ちされた体系的独自コンサルティングを優秀な連携専門家とともに提供します。
幾多の事業承継・企業変革を成功に導く業界のパイオニア的存在です。

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