今日もご覧いただき
ありがとうございます。
こんにちは。
後継社長学提唱者の大島康義です。
私はかつて実家ホテルの倒産を経験し、
その時の学びと経験を
後継社長専門コンサルタントとして
お伝えさせていただいております。
「会議 発言がない 対策」
この言葉で検索されて
この記事にたどり着いた方もいるかもしれません。
実はこの悩み、
後継社長にはとても多いテーマです。
会議で発言がないとき、まず考えたいこと

議題を出す。
「何かありますか」と聞く。
数秒、誰も動かない。
視線が資料に落ちる。
気まずくなって、
結局、社長が続きを話し始める。
多くの会社の会議室で、
毎週のように起きている光景です。
その場面を前にすると、
社長はどうしても
社員の意欲を疑いたくなります。
けれど、
黙っているという事実だけでは、
まだ何もわかっていません。
社員が発言しないからといって意欲がないとは限らない
発言のない会議を、
私は数えきれないほど見てきました。
そこで起きているのは、
反発ではありません。
反対しているわけでもない。
ただ、様子を見ている。
表向きは従う。
会議では賛成もする。
報告も整っている。
でも、腹では誰も賭けていない。
表の組織と、腹の組織が分かれている。
そういう状態です。
意欲がないのではありません。
意欲の向け先が、
会議ではないところにあるだけです。
発言しても会社は変わらないと思われていないか
社員が黙る理由として
いちばん多いのは、これだと感じています。
以前、意見を出した。
けれど、流れた。
決まったはずのことが、
いつのまにか止まっていた。
そんな経験が数回あれば、
人は口を閉じます。
言っても変わらない。
なら、言わないほうが早い。
その判断は、
その人にとっては合理的なのです。
発言がないというのは、
「言えば届いた」という記憶が
社内にない、ということです。
社長が気づかないうちにつくっている「話しにくい空気」
社長自身が気づきにくい要因もあります。
会議の冒頭で、
結論を先に言ってしまう。
意見が出た瞬間に、
つい「いや、それは」と返してしまう。
沈黙が気まずくて、
社長が話し続けてしまう。
私にも覚えがあります。
社員に意見を求めておきながら、
返ってきた言葉に
反射的に説明を重ねていました。
聞いているつもりで、
答え合わせをしていたのだと思います。
どれも悪意はありません。
むしろ真面目だからこそ起きます。
でも受け取る側からすると、
その場は「聞かれる場」ではなく
「測られる場」になります。
なぜでしょうか。
人は、値踏みされていると感じるほど、
失敗の少ない選択を取るからです。
社員にとって、
いちばん失敗の少ない選択は、
黙っていることです。
なぜ社員は会議で発言しなくなるのか

会議の沈黙は、
その日の空気だけで生まれたものではありません。
少し、構造の話をします。
先代社長の影響が残る会社で起きていること
後継社長の会社では、
社員の中に古い前提が残っていることがあります。
「この会社は、先代の会社だ」
口には出しません。
けれど、判断の基準としては
まだ生きている。
後継社長学では、
人の思考を深いところで動かしている
常識や思い込みを「コード」と呼びます。
「先代の会社」というコードが残っている限り、
社員の発言は
「先代なら何と言うか」を
くぐってから出てくることになります。
その分だけ、
言葉は遅くなり、少なくなります。
これは裏切りではありません。
長く勤めた人ほど、自然に起きることです。
上司や社長の反応を気にして本音を言えなくなる理由
社長が代わる時期には、
後継社長を試す空気が生まれます。
少し様子を見る。
前の社長と比べる。
本当に任せて大丈夫かを、つい測ってしまう。
これも人として自然な反応です。
ただ、この空気が強くなると、
社員自身も
同じように測られていると感じます。
測られている場では、本音は出ません。
出てくるのは、
無難な報告と、
角の立たない同意だけです。
古参社員と若手社員の関係が発言に与える影響
会議の沈黙には、もうひとつ層があります。
古参社員が黙っている会議で、
若手が発言することはありません。
順番があるからです。
逆に、古参社員が強く発言する会議でも、
若手は黙ります。
否定される展開が見えているからです。
つまり若手の沈黙は、
若手の問題ではありません。
古参社員と社長の関係が、
そのまま会議の空気になって
若手に届いているだけです。
ここを見ないまま
「若手が積極的でない」と嘆いても、
会議は動きません。
会議で発言を増やすために社長が変えること

では、何を変えるのか。
会議術ではなく、
前提のほうから見ていきます。
「発言してください」と言うだけでは会議は変わらない
多くの会社で試されているのが、
この一言です。
「もっと自由に発言してください」
けれど、これで変わった会議を
私はほとんど見たことがありません。
前提が、何も変わっていないからです。
ここで必要になるのが、リ・コードです。
リ・コードとは、
もう合わなくなった古い前提に気づき、
新しい前提を選び直すこと。
会議には、二組の前提があります。
【コードとリ・コードの一例① 社員の側】
コード:会議は、報告し、確認する場である
リ・コード:会議は、今日ひとつを決める場である
【コードとリ・コードの一例② 社長の側】
コード:発言がないのは、社員の意欲の問題である
リ・コード:発言がないのは、関係と構造の結果である
ある後継社長は、
一時間以上かかっていた会議に、
「今日決めること」をひとつだけ置きました。
議論が減り、決定が増えました。
しばらくすると、
発言の順番が変わったそうです。
古参社員の様子をうかがってから話していた若手が、
先に口を開くようになった。
会議が短くなると、
現場が動き出しました。
発言は、
自由にしていいと言われたときではなく、
自分の言葉が決定につながると
わかったときに出てきます。
社員の意見を経営に生かすことで信頼をつくる
会議の場だけで沈黙を解こうとすると、
どうしても無理が出ます。
私が後継社長にお勧めしているのは、
会議の前に、一対一で会うことです。
後継社長学では、契り結びと呼んでいます。
やることは複雑ではありません。
・感謝を伝える
・考えていることや悩みを聴く
・社長になった経緯を短く伝える
・「協力していただけますか?」と尋ねる
・反応を見て、さらに聴く
要は、四つ目です。
「協力してください」と押し付けず、
問いとして投げる。
そして、聴いた意見のうち
ひとつでも経営に反映する。
その一回が、
「言えば届く」という記憶を社内につくります。
会議での発言は、
その記憶の上にしか生まれません。
後継社長が自分の言葉で会社の方向性を示す
もうひとつ、欠かせないものがあります。
社長自身の言葉です。
指示は届きます。
この案件はこう進めてほしい。
この会議はこう変えたい。
現場は動きます。
けれど、信は届いていない。
この人は何を大事にして判断するのか。
どこへ向かおうとしているのか。
苦しくなったとき、何を残し、何を捨てるのか。
そこが見えないままだと、
社員は自分の意見を
預ける先を持てません。
方向のわからない相手に、
人は自分の考えを差し出しにくいのです。
私自身、
ホテルの後継者だったころ、
自分の言葉を持っていませんでした。
父の会社の空気のなかで、
父ならどう決めるかを探していた。
社員が黙っていたのは、
私が方向を示していなかったからです。
そのことに気づいたのは、
ずいぶんあとになってからでした。
発言が生まれる会社になると経営はもっと面白くなる

沈黙が解けた会社を、
私は何度も見てきました。
そこで起きる変化は、
会議の中だけにとどまりません。
社員が自分の考えで会社の未来を語り始める
意見が経営に届く経験を重ねると、
社員の言葉は変わっていきます。
「これは無理です」から
「こうすればできます」へ。
目の前の作業の話から、
半年先、一年先の話へ。
指示ではなく、
方向に人が集まり始めます。
社長と社員が一緒に会社を動かす関係へ変わる
現場では、こう変わります。
・報連相が戻る(悪い情報ほど早く上がる)
・決めたことが止まらなくなる
・小さな提案が出てくる
社長ひとりが前のめりで、
周囲が少し引いている。
その構図が、静かにほどけていきます。
会議を変えることが会社を進化させるきっかけになる
何人もの後継社長から、
似た言葉を聞いてきました。
「会社は回っているんです。
大きな問題もないんです。
でも、なぜかおもしろくないんです」
会社が回っていても、
自分ひとりで回している感覚があるうちは、
経営はおもしろくなりません。
会議は、その感覚が
いちばんはっきり出る場所です。
だから、会議は変えがいがあります。
人が黙るのは、いつの時代も、
口を開いても何も変わらないと学んだときです。
逆に言えば、
一度でも変わったという事実が積み重なれば、
人はまた話し始めます。
社員の意欲を疑うところから、
自分がつくってきた前提を見直すところへ。
視点がそこへ移ったとき、
沈黙は、責める対象ではなく、
会社を読み解く手がかりに変わります。
その手がかりは、
今週の会議にも、たぶん出ています。



